初期臨床研修を振り返って

秋田赤十字病院臨床研修2年間の思い出

秋田赤十字病院臨床研修2年間を振り返って

石村 まりこ

 秋田赤十字病院で研修をさせていただいてから、早くも2年がたってしまいました。はじめ、病棟業務や救急外来の早さに全くついていけず、(今も!?)つらい時期もありましたが、上の先生や、コメディカルのスタッフの方々に支えられて何とかやってくることができました。当院の良いところは沢山あります。3次救急とのこともあり、救急外来では多くの疾患、外傷を診ることができとても勉強になりました。未だに、救急外来に行くと緊張しますし、悩んでしまう場面も多いですが、最初よりは前進している気がします。地域研修では、北海道の礼文島に行きました。6月の礼文島は自然がとてもきれいで、野生のアザラシや高山植物、静かな凪の海に沈む夕日が忘れられません。もちろん!研修も充実していて、科を問わず様々な疾患の対応を覚えることができました。限られた検査項目の中で、どれを選択するか考える勉強にもなりました。礼文島から帰ってきてからは、いよいよ将来選択する科を決める段階となり、ここでも悩み多かったのですが、最終的に麻酔科にいくことに決めました。後半は麻酔科と関係する科とのことで、循環器科で心エコーを、救急部での研修をさせていただきました。

 秋田赤十字病院にきて一番よかったことは同期に恵まれたことで、勉強熱心で優秀な同期がいることでとても刺激になりました。また、勉強だけでなく飲み会も何回も開催しましたし、年に一回の研修医旅行では福井、高松に皆でいくことができとても楽しかったです。研修終了後は地元の北海道に戻るためもう同期と一緒に仕事をすることがないことを考えるととても寂しいですが、いい思い出を糧に新天地でも頑張りたいと思います。

小田嶋 明美

 2年間秋田赤十字病院で研修させていただき、様々な経験をすることができた。各科はだいたい2ヶ月ずつのクールでまわっていたので、その科に慣れてきた頃に次の科の研修といった感じで次々に進んではいたが、いろいろ学ぶことができたと思う。特に外科系の科では、手術で実際に手を動かすことで身にしみて学ぶことができた。

 もちろん研修生活だけでなく、当院での思い出といえば飲み会だろう。研修医同士や各科の先生方、看護師さん等たくさんの方々と飲み交わすことができ、いろいろな話をすることができた。仕事場とはまた違ったつながりを持つことができ、仲を深めることもできてとてもよかったと思う。

 多くの方に支えられ、とても充実した2年間を過ごせた。秋田赤十字病院での思い出を胸に、また次の病院でも頑張っていきたい。

尾野 祐一

 秋田赤十字病院での研修も残り1カ月となった現在、この文章を執筆しています。2年前の4月に研修がスタートした頃には、右も左も分からずに病棟でただただオロオロしていましたが、今ではようやく病院での仕事に慣れ、多少は医師として成長したのではないかと感じています。

 この2年間を振り返ると印象に残る出来事はさまざまありますが、まず挙げられるのは東日本大震災で被災した地域への救護活動に参加したことです。被災者の生活、津波によって壊された建物、各地から集まった救護の様子など、日常生活からかけ離れた世界を実際に自分の目で見ることで、命の尊さや、普段の恵まれた生活のありがたさを実感しました。研修が始まって1カ月も経っておらず、できることは限られていたのですが、そんな自分でも救護班に参加する機会をいただいたことは大変感謝しています。被災地で得たものは、医師としてだけではなく人間としても大きな経験となったと感じています。

 もう1つ印象に残っていることを挙げるとすれば、救急当直です。秋田赤十字病院は県内唯一の3次救急病院であるため、インフルエンザや胃腸炎といった軽症患者から、交通事故による多発外傷、急性心筋梗塞、脳出血、心肺停止蘇生後といった重症患者までさまざまな症例を経験することができました。重症すぎて立ち尽くしてしまうこともありましたが、上級医の先生や救急外来スタッフのサポートを得て、ある程度の対応ができるようになったような気がしています。3年目からは各病院で1人で当直をすることがあると思いますが、秋田赤十字病院で得た知識や経験がきっと役に立つと思います。

 ここで挙げたこと以外にも印象に残ることはいろいろとありますが、2年間を総じて見ると「楽しかった」と感じています。各科の医師がそろい、同期の研修医にも恵まれたことで、良い初期研修ができたのではないかと感じています。ここで得た経験をもとに来年度以降も頑張っていければと思います。

籠島 可奈

 研修2年間いろいろありましたが、一番はじめに思い出すことは研修生活始まってまもない頃、陸前高田へ救護活動に同行できたことです。震災が起きて1ヶ月以上経過していたこともあり、避難所で生活している人の数は減ってきていましたが、それでも各避難所へ巡回すると感冒症状ある患者さんや持参薬なくなった患者さんなどたくさんいらっしゃいました。その時の上級医の先生や看護師さんたちの患者さんへの温かい言葉がけや接し方をみて、いつか自分もこのようになりたいと思いながら研修生活スタートしました。 2年間いろいろな科をローテートさせてもらいましたが、どこの科でも丁寧に指導してくださる先生ばかりでした。また救急外来でも1次から3次救急まで幅広い症例を経験でき、年に1回の日赤医学会では福井や香川に研修医みんなで行けて、ご当地料理を食べたりととても楽しい思い出ができました。秋田赤十字病院で研修できて本当によかったと思っています。

 4月からは秋田大学医学部付属病院で後期研修することになりましたが、2年間秋田赤十字病院で研修してきたことを生かしていければと思います。2年間どうもありがとうございました。

高橋 枝み

 私と秋田赤十字病院との出会いは、大学1年生の秋田に来て間もない頃自転車で転倒し、顎がぱっくり5cmくらい切れてしまったことから始まります。仮にも顔のことなので、なるべく傷が残らないようにと病院探しに奔走し、秋田赤十字病院の形成外科で手術をしていただきました。患者として通院する中で、明るく活気のある雰囲気に魅力を感じ、将来このような病院で働きたいと自然に思うようになりました。

 実際に当院で研修してみて、本当に沢山のことを学ばせていただきました。私が就職した年は、東日本大震災の直後であったこともあり、就職早々に救護班として陸前高田へ派遣されました。知識も経験もないまま現地へ赴き、一体自分は何の役に立てるのだろうかと葛藤もありましたが、現地の方々と交流し、今後医師としてどのように患者さんと接したら良いか考える機会になりました。このような貴重な経験をさせていただいたのは、当院が災害医療にも力を入れている病院だったからこそだと思います。

 また、当院は三次救急指定病院でもあったため、重症患者を診る機会にも恵まれました。特に印象的だったのは、交通事故で両側血気胸、骨盤骨折、腹腔内出血をきたした20代男性のことです。ドクターカーで救急隊と接触し挿管、胸腔ドレーン挿入、来院後直ちに緊急ガーゼパッキング、TACEを施行し、現在では歩けるまでになっています。一時は瀕死の状態にあった人が、ここまで回復するという医療の力に驚くと共に、患者さんを救命するために一丸となって諦めずに治療に専念する上級医の先生方を目の当たりにして、自分もこうなりたいと強く思いました。

 この2年間での経験を糧に、4月から麻酔科医として精進したいと思います。こんなに未熟な自分を温かく指導してくださった指導医の先生、苦楽を共にした同期、その他スタッフの方々には感謝しています。2年間ありがとうございました。

富樫 俊太郎

 秋田赤十字病院での研修期間も残りわずかとなりました。

 忘れもしない4月7日、初期臨床研修オリエンテーションを終えたばかりのその夜に、東日本大震災最大の余震が秋田を襲いました。部屋の電気が消え、自らの安全を気にしながら考えました。「何もできないけど、病院に行かなければ。」自分の携帯と、渡されたばかりのPHSを交互にかけ、唯一、一瞬繋がったのは同期の一人でした。ワンコールで途切れた電話でしたが、その数分後、電話の相手は私を家まで迎えに来て、暗い道路を二人で病院へ向かいました。到着すると大勢のスタッフの方々が病院へ向かって走っていました。私たちも急いで院内へ駆け込むと、そこには当時二年次の先輩がすでに第一線で働いている姿がありました。力仕事しかできなかった自分にとって、その先輩がとても大きく見えたことを今でも鮮明に覚えています。初日でしたが、大きな目標ができました。 二年間の研修は、終りが近づくとあっという間だった感じがします。救命に暇のない三次救急を目の当たりにし、その治療に携われたこと。多くの手技・手術を経験できたこと。尊敬できる先生方に出会えたこと。先輩・同期に恵まれたこと。酒を飲み過ぎて太ったこと。失敗をして怒られたこと。入院し親友の結婚式に出席できなかったこと。他にも、いろいろ思い返すと、とても濃い二年間だったと思います。後悔は全くありません。思い半ばに研修先を選んでいた私に学生時代から声を掛けて下さった平野先生には、本当に感謝しています。この間の約束通り、いつか必ず、同期と先生で集まりましょうね。

 来年度からは秋田大学医学部付属病院で、脳神経外科医としての勤務となります。他病院で研修中の方も学生の方も、分かることであればお答えするのでいつでも声を掛けてください。将来、何らかの形で秋田赤十字病院と関わっていけることを目標に精進したいと思います。 二年間ありがとうございました。

松尾 翼

 秋田赤十字病院で2年間の研修を終えて感じることは、本当にたくさんの人に支えられた2年間だと感じました。各科の指導医の先生方、研修センター委員の先生方、先輩・後輩研修医のみんな、看護師さんをはじめスタッフの方々…数えきれない程の人に教わり、支えられましたが、その中でも特に大きかったのが、図書室の進藤さんと同期研修医の存在です。

 社会人なりたてで、事務的な書類の書き方がわからない・勉強会の日程を忘れてしまいそう…など日常の仕事の世話の他にも、研修医室のお湯の補充や研修センターの掃除など身の回りのことまで面倒見ていただきました。地域医療で北海道の病院に荷物を送った際に、そっと段ボールの中にお菓子やインスタントスープなどを忍ばせていただいた時には、進藤さんの優しさに遠い北海道の地で一人涙を流しました。進藤さんのいない研修センターなど考えられないほど、秋田赤十字病院の研修医にとってかけがえのない存在です。

 そして、研修2年間を振り返るにあたって、思い当たることはやはり同期のメンバーに恵まれたことです。研修中に中だるみのようになってきた時に同期が頑張っている姿をみると自分も頑張らなきゃと思ったり、みんなで息抜きをする時には思う存分騒いだりと、いろんな面でいい刺激になることが多かったです。一緒に学会旅行に行ったり、仕事終わりにご飯に食べに行ったり、研修センターでわからないことを相談したりと、このメンバーで研修できて本当に良かったです。

 この研修2年間はあっという間だったけど、公私共に充実した2年間でした。最後になってしまいますが、研修センター長の平野先生をはじめ、研修センター委員の先生方には本当にお世話になり、研修医しゃべり場では研修医の環境をよりよくするために遅い時間まで議論に付き合っていただきました。この場を借りてお礼させていただきたいです、本当にありがとうございました。

 

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