ハワイ大学シミュレーション研修に参加して

 研修、勉強会は嫌いでもハワイ、バカンス、リゾート、ビーチ、マリンスポーツ、これらのワードに拒否感を示す人は少ないだろうと思います。今回この2つを組み合わせた貴重かつ刺激的な研修に参加できたため、内容、所感について報告させていただきます。ハワイ大学医学部のSim Tikiシミュレーション研修というもので、秋田医師総合支援センター主催で秋田県内の2年次以降の医師を対象に募集し、2015年7月中旬の4日間で行われました。自分は国内でACLS,PALS,JATECなどのシミュレーション研修を受講しましたが、海外での研修は英語に不安があるため参加は非常にためらわれました。しかし、他ならぬハワイでの開催だったため、参加を決意しました。希望提出にあたり、病院内からの推薦文が必要でしたが、幸い秋田赤十字病院では学会・研修を積極的に推奨しているため、平野研修センター長から快く推薦文を書いていただくことができました。
 行われた研修の日程は下記の通りでした。
 

7/6 移動日

7/7 1日目 Lecture: Simulation in Medical Education, Patient Safety. Night On-Call

7/8 2日目Difficult Airway Management(DAM), Crisis Team Training

7/9 3日目 Emergency Pediatric Cases

7/10 4日目 Site Visit: Tripler Army Medical Center( Lecture with TAMC residents)、DMAT Hawaii

7/11 帰国


 7/6 成田国際空港で秋田からの参加者5人(全員2年次研修医!)で決起集会を行いました。(写真1)飛行機での長旅を終え、ホノルル国際空港、宿泊地へ移動。(写真2)ホテルの目の前がワイキキビーチで一同テンションがあがり、アロハシャツ、水着となり早速ハワイを満喫し、翌日からの研修に備えました(写真3)


 7/7 午前はDr. Leeからイントロとシミュレーション教育についての講義、Dr. Bergから医療安全についての講義を受け、午後にNight On-Call(いわゆる当直?) のシミュレーションを行いました。簡単な患者情報のプレゼンが行われた後に(写真4)、こちらが必要な情報を問診するといった方式でした。全部英語かと思いきや、日本から短期研修できているフェローの先生がいたため、なんちゃって英語、ないし日本語でも問題ありませんでした。アナフィラキシーショック、急性冠症候群、頭部外傷、心房細動の症例で頻繁に遭遇する疾患でしたが、英語での問診、指示、薬剤の名称・用量といった点が難しく感じられました。また腹腔鏡トレーニングも同時に行い、タイムアタックでは12人中、自分がトップのタイムで賞品をいただくことができました。(写真5)

写真4

写真5


 7/8 午前はDAMについて講義と実技を行い、シミュレーションで顔面熱傷や高度肥満による気道確保困難例でDAMアルゴリズムを実践しました。写真6は気道確保困難症例に対して輪状甲状靭帯切開を行っている所です。
 午後にはCrisis Team Training(CTT)という内容で、ビデオ撮影をしながら急変時対応をチーム全員で行い、終了後にビデオを見返してディスカッションするものを行いました。シミュレーターが遠隔操作でバイタルサインやモニター波形が変動していく点がリアルです。(写真7)


 7/9 小児救急対応の内容で気道異物、糖尿病性ケトアシドーシス、けいれんなど全4症例を実践しました。(写真8)またこの日はハワイ大学での研修最終日だったため修了証の授与が行われ、ここまで3日間慣れない土地、言語で行われた研修だったため充実感はひとしおでした。(写真9)

写真10 全員で記念撮影

 
 このほか、適宜ショッピングやサーフィンなどのマリンスポーツ、ハワイ料理を満喫することができ、研修、ハワイ生活共に大変満足いく内容でした。
 今回参加しようと思った理由の一つに、英語圏での医療を体験したいというものがありました。ハワイという常夏のリゾート地での研修のため周囲からは夏休みだろ、と羨ましがられもしましたが、参加した5人とも非常に熱心に勉強し、目標は達成できたように思います。また研修は長くても15時頃に終了するため自由時間が多く、ハワイを十分堪能し、腰痛と日焼けに苦戦しながらサーフィンを体験する余裕もありました。もちろん、初めは英語環境、異国でのシミュレーション研修で緊張、不安しかありませんでしたが、ファシリテーターの先生が多くいらっしゃったこと、他病院からの日本人レジデントや、別のコースに参加していた医師達の援助のおかげで寂しさは感じませんでした。指導いただいたDr. Berg, Dr. Leeはとても優しく、熱心であり、日本人参加者に配慮した会話スピードであったこともありがたかったです。秋田県で初回のハワイ大学研修コースだったようですが。来年度以降の開催がもしあれば参加することを是非ともお勧めしたいと思います。

(三浦 隆徳 記)

 

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