CPCを担当して

 7月26日、私が剖検に入った患者さんのCPC(clinical pathological conference;臨床病理検討会)がありました。臨床診断が病理学的に妥当かどうか、また他に死因となりうる疾患があったかどうかを、組織標本を一枚一枚顕微鏡でのぞき、指導医の先生のご指導や論文をもとにして紐解いていきました。顕微鏡で組織標本をみること自体が数年ぶりだった私にとってその作業は想像以上に大変なものでした。しかし、顕微鏡をみては文献を調べ、また顕微鏡をのぞくという作業の繰り返しは、パズルのピースを一つ一つはめていくような新鮮な感覚でした。患者さんは生前、病状の悪化が懸念されたため生検が行えず、確定診断が付けられていませんでしたが、今回の剖検において確定診断を付けることができました。患者さんが罹患していたのはまだ移植以外に完治できる治療法が確立されておらず、今後、病態の把握と症例の蓄積が必要な疾患でした。CPCは大切なお身体を剖検させてくださった患者さん、ご家族のために確定診断をつけ、さらに今後の医療の発展につなげていくための大切な検討会であることを実感した時間でした。

(小黒 希理 記)

 今回担当させていただいた症例は非常に珍しい肺疾患でした。この患者さんの生前の様子を実際にみたことはなく、膨大なカルテの中から経過を追っていくことは時間を要しました。集めた臨床経過のみではその人の最期の瞬間に何が起きたのかをはっきりと知ることはできませんでしたが、そこに病理所見を組み合わせることでその最期の瞬間まで体内で何がおきていたのかが徐々に明らかとなる過程は興味深く、病理解剖によって得られる情報の膨大さとその意義について実感することができました。今回、急遽決まったCPCの発表であり、数日という非常に短い時間しかありませんでしたが、この短い期間でなんとか発表ができたのは、病理および臨床の指導医の先生、そしてなにより同じ症例を担当していたもう一人の研修医のおかげです。本当にありがとうございました。

(齊藤 文菜 記)

 

←臨床研修たよりTOPに戻る

年度別アーカイブ