検査部

検査部理念

 私たちは病院の基本理念に基づき、ひとり一人の患者さんやご家族が安全で安心・満足が得られる医療を検査技術により、「正確」かつ「迅速」に提供いたします。

概要

 当検査部は検体検査、生理検査、附属あきた健康管理センター臨床検査の各部門を総勢36名のスタッフで「正確な検査データを提供すること」を一番の使命として、患者さんやドックを受診する皆様に「不安なく、不快なく検査を受けていただく事」を目標に検査をしています。

 臨床検査は大きく分けて、血液、尿などを対象とする検体検査部門と、心電図、脳波など人体そのものを対象とした生理検査部門があります。

 検体検査部門では、外来採血を8時15分から臨床検査技師と看護師が行い、診察前検査に対応しています。

 生理検査部門は10人のスタッフで循環器検査、脳神経検査、健診検査を医師と連携して行っています。全員が心電図検査、呼吸機能検査、超音波検査ができるように習得に励んでいます。また、採血や時間外緊急検査も担当し、検体部門の技師と共に24時間緊急検査体制や外来採血業務にも対応しています。

 チーム医療の一員として、院内感染対策チーム(ICT)、栄養管理チーム(NST)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)、糖尿病サポートチームに参加し、適切な情報を提供すると共に院内ラウンドなどの活動もしています。

 秋田県の中核医療機関の一員として、地域医療に貢献できるように、常に新しい知識と技術の向上に取り組んでいます。

臨床検査について

 検査部では以下の検査を行っています。 ご覧になりたい検査をクリックしてください。

生化学・免疫血清検査

臨床化学検査

 臨床化学検査では採取された血液や尿などを使って以下の測定を行っています。

  • 生化学検査(血液、尿中の化学成分)
  • 糖尿病関連項目
  • タンパク電気泳動
  • 血液ガス
  • ICG試験
  • 血中薬物濃度:抗てんかん剤、気管支拡張剤

生化学検査

 生化学検査では採血管の中で固まった血液を遠心分離した後に得られる上澄み成分(血清といいます)を用いて、血液中の化学成分を自動分析装置にて測定しています。

 栄養状態、酵素活性、窒素化合物、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪など)、電解質(ナトリウムやカリウムなど)、炎症の有無などがわかります。

 また、尿中の化学成分も測定しています。生化学成分は種々の生活環境や日内リズム(食事や運動など)により変動します。

糖尿病関連検査

 糖尿病関連項目として血糖、HbA1c、グリコアルブミンを測定しています。血糖は空腹時、随時の他、糖負荷試験も行っています。

 HbA1cは過去1~2ヵ月の平均的な血糖値を反映し、グリコアルブミンはHbA1cよりも短い過去1~2週間の平均的な血糖値を反映します。

タンパク電気泳動検査

 血清を特殊な膜に塗布し、電気を流すと血清中のタンパクがその種類により大きく5つに分かれます。栄養異常、吸収・漏出、消耗状態、悪性疾患、脱水症などの多くの疾患のふるいわけに使われます。

血液ガス検査

 血液ガス検査では動脈、静脈から採取された血液を分析装置にて測定します。血中に含まれる酸素や二酸化炭素の量、pHから呼吸の状態(ガス交換)や体の中の酸性・アルカリ性を評価することができます。

ICG(インドシアニングリーン)試験

 生化学検査での肝機能検査や画像検査などで診断のついた慢性肝疾患の機能の評価、重症度判定および予後の推定や外科手術に対する肝予備能の評価が必要な場合に検査されます。

免疫血清検査

 免疫血清検査では、採取された血液を使って以下の検査を行っています。

  • 感染症検査
  • ホルモン検査
  • 腫瘍マーカー検査

感染症検査

 生体内に細菌やウィルスなど異物(抗原)が侵入すると、その異物(抗原)に対する防御物質(抗体)が作られます。この抗原や抗体を測定することで細菌感染やウィルス感染の有無を判定します。B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、梅毒病原体、マイコプラズマ、新型コロナウイルスなどの抗原・抗体を測定しています。

ホルモン検査

 当院ではホルモン検査として甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンを測定しています。甲状腺刺激ホルモンは脳下垂体で作られ、甲状腺ホルモンの分泌を調節します。甲状腺ホルモンは、ほとんどすべての生体の機能に関与しています。副甲状腺ホルモンはカルシウムや無機リンの調節をしています。

腫瘍マーカー検査

 腫瘍マーカーとは体内の腫瘍(癌)の存在に関連し産生される物質で、画像診断の目標を定め、治療効果の判定には効果的です。しかし、腫瘍以外の疾患でも上昇することがあり、生理的変動もあるため絶対的なものではありません。画像検査と比較して総合的に診断することが重要です。

血液検査

 血液検査では、血液中の血球成分(白血球、赤血球、血小板など)を調べることで白血病などの血液疾患を発見したり、凝固・線溶検査(止血機構をみる検査)によって血液中の止血と出血のバランスが保たれているかを調べています。

血球算定

 自動分析装置を用いて血液中の血球成分(白血球、赤血球、血小板など)を数えたり、サイズを測ったりすることによって各種の貧血や血液疾患の疑いがないかを調べます。

血液像検査

 スライドガラスに患者さんの血液を塗布し、染色をして顕微鏡で血球成分を観察します。細胞の大きさ、形、色などによって異常がないかどうかを調べます。骨髄検査で採取した骨髄液も同じように観察をします。

凝固・線溶検査

 血液中の止血と出血にかかわる成分を調べる検査です。正常では血栓をつくる作用と、血栓をつくらないようにする作用とのバランスが取れている状態ですが、どちらかのバランスがくずれると、血栓傾向または出血傾向がおきます。

一般検査

 尿、便、髄液、体腔液(胸水、腹水等)、関節液の検査をしています。

尿定性検査

 試験紙を用いて尿中の糖、蛋白、赤血球の有無を調べて腎、尿路系の状態をみます。

尿沈渣(にょうちんさ)検査

 尿を遠心して、尿中の細胞、赤血球、白血球、細菌などを顕微鏡で調べます。

便検査

 寄生虫卵の有無を調べます。便中の血液成分を測定し消化管の出血有無を確認する事により大腸癌の早期発見につながります。

髄液検査

 髄液中の細胞や蛋白、糖を測定し中枢神経系の炎症などを調べます。(髄膜炎など)

体腔液(胸水、腹水等)

 性状や顕微鏡にて細胞成分を調べます。

関節液

 顕微鏡にて結晶の有無を調べます。

血液中・尿中浸透圧検査

 血液や尿の浸透圧を測定することにより、体液のバランス(濃縮や希釈)が分かります。浮腫、脱水、ナトリウム異常、多尿、高血糖などのときに検査されます。

輸血検査

 輸血療法は安全対策の推進により、免疫性及び感染性輸血副作用・合併症は減少し、輸血用血液の安全性は高くなってきましたが、輸血副作用・合併症を完全に防ぐことは出来ません。これらを最小限に抑えるべく、私たちは安全で適正な輸血を目指し、さらには迅速な輸血療法の提供に努めています。

輸血検査

 主に自動分析装置を用いて検査をしています。

血液型検査(ABO式、Rh式)

不規則抗体スクリーニング検査

 これから輸血をする、あるいは輸血をするかもしれない患者さんが不規則性抗体を持っているかどうかを検査します。

交差適合試験

 輸血用の血液と患者さんの血液との間に、血液型抗体に起因する抗原抗体反応が起こるかをあらかじめ検査して、輸血後に起こる溶血反応を未然に防ぎます。

製剤管理

 以下の製剤管理をしています

製剤管理

赤血球製剤

 出血および赤血球が不足する状態、またはその機能低下による酸素欠乏のある場合に使用します。

血漿製剤

 複数の血液凝固因子の欠乏による出血ないし出血傾向のある場合に使用します。

血小板製

 血小板の減少またはその機能低下による出血ないし出血傾向のある場合に使用します。

自己血

 当院輸血検査室では貯血式自己血輸血を採用し、整形外科・泌尿器科・産婦人科等の領域における一定の術式に対応しています。

アルブミン製剤

 平成25年1月1日より、アルブミン製剤の管理も輸血検査室で担っております。

 輸血検査は24時間体制で夜間の緊急輸血にも対応しています。安全で適正な輸血医療を目指すため、日常業務では常にダブルチェックや確認作業を怠らず、また、学会等にも積極的に参加し、学術の研鑽に努めています。

微生物検査

  私たちの身の回りには沢山の細菌が存在しています。多くの場合、それらは私たちの体を守るバリアとして働いて、健康の維持に貢献しています。しかし時として、それらの細菌の一部が私たちの体に対して有害に作用し、感染症を引き起こします。

 そうした際に微生物検査室では、患者さんから採取された検体(喀痰、尿、便、粘膜拭い液、体腔液など)を培養し、そこから感染症に関与している細菌を同定します。さらに、同定された細菌に対して、どの抗菌薬が有効かを調べます。新型コロナウイルス感染症の流行に伴い遺伝子検査も行っています。

  また、感染制御や抗菌薬適正使用に関わる活動にも力を入れ、取り組んでいます。

塗抹・鏡検

 主にグラム染色という方法を用い検体中の細菌や細胞を染め出します。続いて顕微鏡を用いて感染症を引き起こしている細菌を推定します。

培養

 検査材料や目的とする菌に適した培地を用いて、培養条件(時間、温度、酸素の有無など)を変えながら、細菌を発育させます。

同定試験

 培養によって得られた細菌が何菌であるかを特定していきます。

薬剤感受性試験

 同定した菌に対して、どの抗菌薬が有効かを検査します。

遺伝子検査

 患者検体中に含まれる病原微生物の核酸を増幅、解析することで病原微生物の特定をします。
 呼吸器感染症と髄膜炎、脳炎を引き起こすウイルス、細菌、真菌についての検査を行っています。

その他

 ・抗酸菌検査
 ・抗原検出迅速検査

生理検査

 生理検査課は現在 臨床検査技師10名、受付事務員午前、午後各1名の12名で検査に取り組んでいます。

 生理検査では患者さんと直に向き合い、検査を行っています。検査には患者さんの協力が必要不可欠であり、中には患者さんの努力を要する検査もあります。患者さんの負担を極力抑えるためにも、適切な検査手技はもちろんのこと、わかりやすい説明と患者さんの気持ちに寄り添った対応で、患者さんが安心して検査を受けられるような環境づくりに取り組んでいます。

循環器領域

心電図、負荷心電図検査

 心臓が発する微弱な電気信号を体の表面で波形として記録したものが心電図です。記録された波形をもとに、不整脈、心筋障害などが判断できます。また安静時心電図が正常でも虚血性心疾患が否定できない場合や運動により誘発される不整脈の検出などには負荷心電図が実施されます。当院では、動くベルト上を歩行するトレッドミル法を行っています。

ホルター心電図

 記録機を携帯して日常生活の中で24時間程度の心電図を連続記録することで一過性に出現する不整脈や心筋虚血を検出することができます。

血圧脈波(ABI)検査

 両腕と両足の血圧測定を同時に行い上腕と足関節の収縮期血圧比(ABI)により血管内径の閉塞状態の評価ができます。また脈波伝播速度(PWV)により動脈硬化の程度を知ることができます。

心エコー検査

 胸の上から探触子(ここから超音波がでます)を当てることにより心臓を画像としてリアルタイムで観察できる検査です。心臓の動きや各部位の大きさ、血流や弁膜などに異常がないかチェックします。

健診部超音波

腹部エコー

 肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、胆嚢などお腹の中の臓器を詳しく観察する検査です。各臓器の大きさや内部に異常な構造が無いかなど調べます。

頚動脈エコー

 超音波で頚動脈の血管を調べることで狭窄が無いか動脈硬化性病変が無いかなど調べます。

甲状腺エコー

 甲状腺は喉ぼとけのそばの小さな臓器です。大きさや内部構造に異常が無いか超音波で調べます。

乳腺エコー

 乳腺の内部構造に異常がないか超音波で調べます。

神経生理領域

末梢神経伝導検査

 運動神経や感覚神経を皮膚上から電気刺激し、伝導速度、刺激反応時間、導出された反応電位の振幅、波形、持続時間などを測定します。
 当院ではMCS、F波、SCS、反復刺激、ENoGなどを検査しています。

聴性脳幹反応

 様々な大きさの音を聞いてもらい、聴覚神経系の興奮による電位を測定します。この反応は意識や睡眠状態の影響を受けにくいため、他覚的聴力検査や脳幹部の神経学的検査として用いられます。また、新生児聴力検査としても用いられ、産科病棟や新生児病棟等でも測定します。新生児聴力検査では35dBという「ささやき声」程度の音を聞かせ、将来の言語発達に大きく影響する聴覚障害を早期に発見します。

誘発電位

 視覚や手や足の感覚神経に刺激を与え、誘発される電位により視覚伝導路や末梢神経から脊髄、大脳皮質に至る神経の機能障害の有無について測定します。
 当院では体性感覚誘発電位や大脳視覚誘発電位などを検査しています。

脳波

 脳の電気活動を頭につけた電極より測定します。検査はベッドに寝てもらい、覚醒時、睡眠時、過呼吸、閃光刺激の記録をします。

呼吸機能検査

 呼吸を大きくしてもらったり、息を勢い良く吐いてもらったりして、肺活量など測定して、呼吸器疾患の診断や重症度を判断、手術前の検査等として用いられます。
 当院では肺気量分画、努力性肺活量、最大換気量、機能的残気量、肺拡散能力、気道可逆性試験などを検査しています。

耳鼻科領域

聴力検査

 大きさと高さの違う音をヘッドホンで片側ずつ聞いてもらい、音の聞こえの状態を調べます。

重心動揺検査

 センサーが内臓されている三角形の板の上で立ってもらい、開眼時と閉眼時の体の揺れ具合を調べます。

採血室

 採血室では患者さん自身で端末に診察券を入れていただき、受付をしていただくシステムを導入しています。8時から尿カップをお渡しして採尿を始めており、8時15分からは採血を行っています。採血台は6台稼働しており、最大6人の看護師・臨床検査技師で採血を行っております。

 通常の採血・採尿以外にも以下の検査も採血室で行っております。

75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)

 朝から絶飲食で来ていただき、75gのブドウ糖が入った飲料を飲んでいただきます。その後、決まった時間で採血・採尿を行います。糖尿病の診断の為に行う検査です。

50gGCT(経口ブドウ糖負荷試験)

 飲食可の検査です。50gのブドウ糖が入った飲料を飲んでいただきます。その後、決まった時間で採血を行います。産科の方に行う検査です。